税理士のための租税法講座紛争予防税法学

詳細

• タイトル: 税理士のための租税法講座紛争予防税法学 de 増田 英敏
• ISBN: 490546725X
• ファイル名: 税理士のための租税法講座-紛争予防税法学.pdf
• 発売日: 2015/6/8
• ページ数: 332ページ ページ
• 出版社: 増田 英敏

会社経営者です。タイトルには「税理士のための」とあり、本来一般の納税者が読むことを想定した書籍ではないと思いますが、文体は平易で簡潔、専門用語も少なく解説も丁寧なので、税の専門家以外が読んでも問題ないと思います。むしろ、経営者、税務署職員、弁護士、裁判官など、税に関わることのあるすべての人に読んでほしい本です。この書は、一見あいまいに思える税務上の難問、たとえば「何が必要経費に含められるのか？」や「税理士の責任はどこまでなのか？」などに対して、どのように向き合うかを検討するというとても実践的な本です。このテーマは税理士だけではなく納税者にとってもとても重要なものです。この書の根幹にある重要ポイントはおそらく「租税主義」と「文理解釈」であり、それを突き通すことで自ずと答えは出てくるというスタンスが貫かれています。その結果、時には過去の判例や現行法の中に潜む問題点を浮き彫りにすることもあり、そういうた意味でもスリリングで挑戦的な本だと言えます。全編をとおして、税法に対する消極的な「傾向と対策」ではなく、積極的な「理念と理想」が掲げられており、自分の頭で考えたい人向きだと思います。そういった意味では入門的ではありませんので、網羅した知識を手軽に得たいという方は別の入門書に当たった方が良いでしょう。出版が2015年ということで平成23年の国税通則法改正後の出版物ですが、執筆時期がこの改正に前後している関係か、多くの章では改正前の旧法を前提とした記述に改正に関しての注記が加筆されている、というスタイルになっています。この点では一見わかりにくいと思う方もいらっしゃるかも知れませんので、★を一つ減らして4つ星としました。ただ、この本が実践の書であり自分で考えるための書であるという観点からすれば、法そのものが変化していく様子も含めてリアルに記述されているという意味で、あえてこのスタイルが取られていると積極的に評価しても良いのではないかと思います。